なぜニセコだけが世界リゾートになったのか。(タヌキ書評)
「なぜニセコだけが世界リゾートになったのか」高橋克英著
ニセコだけが日本の高級リゾート地として成功した理由は観光による一時的な「消費」より、海外富裕層による長期思考の「投資」先としておカネが集まったからである。
(本書より抜粋)
日本における不動産投資の後進性、そして観光政策の失敗の原因を認識させられた一冊であった。
本書はニセコがなぜ日本で唯一の世界リゾートになったのか、 ファイナンス面からの視点で描かれている。最近発刊された本であるので、コロナの状況も書かれている。
実はニセコでは コロナが感染拡大している状況下でも不動産投資が加速していると いう。
それは以下の理由からである。
①外資系大手や公共事業の計画
②世界的な金融緩和
③海外富裕層とホテルコンドミニアムの存在
「パウダースノー」 というキラーコンテンツを筆頭に海外のホテルの建設ラッシュが始 まり、
海外投資家からの投資が投資を呼ぶ状態となった。
私は本書から、「客数より収益、消費より投資」 の新しい経済でマネーが集まる観光地に
なる重要性を感じた。
国内の投資と外資の投資の違いについてはその点にあるり日本全国の観光地がインバウンドに平伏し、一般向けの「ゆるキャラ」やB級グルメを売り出すことから富裕層の思考に合わせた対応まで幕の内弁当的な全方位政策をとる中、ニセコにおける外資の投資はスノーパウダーという絶対的なキラーコンテンツを最大限に生かし、「海外」「富裕層」「スキー」に絞った「選択と集中」を実践してきたのだ。
ニセコが実現した 投資対象としての観光地のシステムは不動産証券化とも通じるところが多い。
不動産ファンド人材もこの分野で新たなビジネスチャンスを見つけ に行けると確信している。
不動産投資や観光、 地方創生といった分野で必ず新たな発見が見つかる一冊なので是非 読んでいただきたい。