3月度REIT決算まとめ(レジREIT特集)
3月に決算発表をした1月締めREITの中で、レジデンシャル(賃貸住宅)をメインアセットとするレジREITは4社と多い。
そこで今回はアドバンスレジデンス投資法人とコンフォリアレジデンシャル投資法人、サムティレジデンシャル投資法人の3社の決算について分析していきたい。
(ケネディクスレジデンシャル投資法人は別記事で分析している。)
3社のレジREITを分析すれば、現在の賃貸住宅マーケットのトレンドについては、おおよそ把握できるのでぜひご覧いただきたい。
【アドバンスレジデンス投資法人第21期決算】
分配金:5,600円(前期比-1%)
多く保有している都心の1R・1K主体の物件が苦戦気味で賃料収益減少が分配金にマイナスインパクト。賃料収益減少に対して物件売買や内部留保の取り崩しで補うも前期比より分配金が減少する結果に。
次期以降も賃料収益減少を見込み、2022年以降に賃貸住宅全体の回復を予想する。
【コンフォリアレジデンシャル投資法人第21期決算】
1月度分配金:5,410円(前期比+1.9%)
東急不動産をスポンサーとするレジREIT。
都心への人口流入減を背景とする稼働率低下・賃料上昇鈍化により分配金にマイナス。しかし、毎期行なっている公募増資による物件取得により賃料収益鈍化によるマイナスを埋め戻し過去最高の配当。因みにアンケートにより、テレワークによる東京から郊外シフトは見受けられないことを示唆。
【サムティレジデンシャル投資法人第11期決算】
分配金:3,333円(前期比+17%増)
関西圏を主戦場とするスポンサーのサムティに影響されるよう大阪にある物件比率が他の住宅REITよりも高いことが特徴的なレジREIT。
大阪は東京に比べると賃貸住宅市場は堅調であったために賃料収益は分配金にプラスインパクトであった。
物件売却も計上し前期比10%を超える大幅な増益となった。
総括
これら3社を分析して分かったことは、現在のコロナ禍での賃貸住宅は昨年までの好調期と比較し、稼働率・賃料上昇率が悪化しているということである。
主な原因は以下の通りである。
・レジREITのメインの住戸となる東京の1K、1Rといった単身用の狭い部屋が苦戦
テレワークが浸透したコロナ禍の中で、狭い部屋はテレワークに向かず敬遠されやすかったことも背景にある。
一方で、メディアなどで騒がれていた都心から郊外への需要回帰現象はレジREITの分析からはあまり影響がないということであった。
私個人的にはテレワークが定着すると予想される社会の中で、1K・1Rといった狭い部屋の賃料がコロナ前の全盛期まで上昇することは厳しいと考えている。
そのため、レジREIT各社は1K・1R主体の物件を売り、逆に需要が高くなっている1DK・1LDKを取得できるかがカギとなってくると個人的には考えている。
次期も賃料収入が減ることが予想される中物件の売却益で分配金コントロールも考えられることから今後のレジREITの物件売買動向にはより一層注視していきたい。
※本記事は特定銘柄や投資手法を教示する記事ではなく、投資についての私の考えについて述べ、紹介するものです。個々人の投資リスクに関しての責任は取りかねます。