ジャパンリアルエステイト投資法人決算分析!!(2021年3月期)
今回は三菱地所がメインスポンサーであるオフィスREIT・ジャパンリアルエステイト投資法人
の直近2021年3月期決算について分析する。
2021年3月決算分析
ジャパンリアルエステイト投資法人の当期決算内容については以下の通りである。
営業収益:34,944百万円(-0.1%)
当期純利益:15,560百万円(-0.2%)
分配金:11,320円(+0.5%)
※ ()内前期比
いずれの指標も2020年9月期と比較し、横ばいである。
(参考)ジャパンャパンリアルエステイト投資法人「分配金サマリー」
分配金については、ここ5年間で常に右肩上がりで成長してきたため少々寂しい結果となった...
成長停滞の原因については、保有オフィスの稼働率が99%から2021年3月末には97.9%になったことや賃料上昇率が鈍化したことである。
また、今後についてはジャパンリアルエステイトが算出した「賃料ギャップ」が減少していることも気がかりであり、これは向こう数年間オフィスの賃料が減少することを表す。
(参考)ジャパンリアルエステイト投資法人「査定賃料・賃料ギャップの推移」
タヌキ所感
コロナ禍が長引く中で、ジャパンリアルエステイトは2021年9月期にはさらなる賃料収入の減少を見込んでいる。
決算資料でのジャパンリアルエステイトの今後の見通しは以下の通りである。
・ワクチン接種のスピードが予想より遅く、今年1年新規需要は見込めない。空室率の上昇は続く。
・新型コロナウイルスの終息が見えてくれば、大手企業を中心に今後は働き方を試すフェーズに入る。
・今後は「選ばれるオフィス」と「選ばれないオフィス」の2極化が浸透する。
若干、弱気な予想だとも読み取れた。しかし、2021年度9月期には「大塚東池袋ビルディング」の売却も決まっており、その売却益で賃料収入の減少を補う予定である。
私自身もオフィス市況の本格的な回復は2023年からだと考えているため、それまでジャパンリアルエステイトが賃料収入の減少を補うため物件売却などを通じて、分配金を維持できるかが今後のポイントだと考えている。
最後にジャパンリアルエステイトの資産総額は1兆705億と日本ビルファンド、日本都市ファンドに次ぐ3番目の巨大REITであり、J-REIT全体への影響度も大きい。
今後もオフィス市場の回復を見守るとともに、引き続き安定した運用を期待したい。
※本記事は情報提供を主たる目的としたものであり、投資手法を紹介したり特定の銘柄を推奨するものではありません。個々人の投資に関しての責任は一切取りかねますのでご留意ください。