3/28・今週の論点(ラサール350億の取得、NBF南青山売却)
はじめに
あと1週間で今期も終わるが、ここにきて公募REIT・私募REITともに物件売買の発表が相次いでいる。
今週物件売買を発表したのは、ラサール不動産投資顧問やNBF、近鉄、ヒューリックREIT、DBJプライベートリートなどだ。
物件価格が高騰し、各社高額での物件取得をしていることが共通点として挙げられている。
そこで今回の論点は
「物件価格の上昇が続く不動産市況の中で、各社は物件を高値で買うことをどう正当化しているのか」
である。
今回はラサール不動産投資顧問とNBFのディールについて取り上げたい。
ラサール350億の取得
3月19日にラサール投資顧問はオープンエンドファンドによる大阪圏に立地する大型物流施設 1物件と、東京圏の賃貸住宅 9物件の取得を発表した。
今の不動産市況で売買の活発な物流と賃貸住宅の取得である。
本ディールで注目したいのは、ラサールが「DTU」分析という独自のフレームワークを用いて取得に関わる物件査定を行なっている点である。
DTU分析とはラサールが独自に考案した不動産投資における長期トレンドを捉えるための分析フレームワークであるようだ。
DTUはDemographics (人口動態)、Technology (技術革新)、Urbanization (都市化)の頭文字を取ったものである。
このようにラサールは独自の不動産分析のフレームワークの作成により、物件を現在の価格で買うことへの正当性を示した。
日本ビルファンドNBF南青山売却
3/25には日本ビルファンドがNBF南青山ビルを売却し、上野イーストタワーを取得した。
このディールの注目点はNBFが鑑定評価額203億円で簿価が315億円で含み損を抱えていた物件であったにも関わらず、簿価以上で売却された点である。
三井不動産系列でなく、買い手が見つかった点にも注目が集まる。
買い手はゴールドマンサックス系のファンドと予想されている。
ゴールドマンのファンドには多数の投資家がバックについているとされる。直近の低金利による運用難の受け皿として、投資家の期待に応えるために投資先を探すのに必死であることが読み取れる。
総括
以上、本記事で取り上げたディールをもとに今回の論点である「物件価格の上昇が続く不動産市況の中で各社は物件を高値で買うことをどう正当化しているのか」に対しての答えは、
・独自のフレームワークの構築で不動産市況のさらなるインカム・キャピタルの追求ができると示した。
・投資家の不動産への資金流入は今後も増すため、これからも不動産市況がアップサイドを目指すことを買い手は期待している。
という風に私は解釈できると思う。
ここ10年不動産市況は上昇を続け、コロナ禍で一瞬下がるかと思われたが、当てが外れさらなるアップサイドになっている。
今後も不動産市況を占う各社の売買動向については目を光らせていきたい。