Jフロントリテイリング決算総括
今週は2月度締めの本決算の発表の週であった。
個人的な注目はコロナ禍で揺れる「百貨店」セクターである。
今回はその中でJフロントリテイリングの本決算についてまとめていきたい。
コロナの影響は?決算まとめ
※Jフロントリテイリング決算資料より抜粋
売上収益は前の期比34%減の3190億円、営業損益は242億円の赤字であった。
主力の百貨店事業、バルコ事業の落ち込みが大きく影響した。
来期の予想については、富裕層が消費を引っ張る形で月を追って百貨店事業が回復することを見込み、黒字化の予想。
しかし、決算発表翌日株価は10%近くまで下落した。
企業の予想に対して良い見通しが立てられず投資家のコンセンサスに達しなかったことが原因であろう。
(参考)Jフロントリテイリング直近1週間株価
※Yahooファイナンスより
今後は不動産業界に業態シフト⁉︎
※Jフロントリテイリング決算資料より抜粋
今回の決算発表と同時に中期経営計画も発表され、その中で今後Jフロントは百貨店から不動産事業へシフトしていくことが示された。
心斎橋PARCOはすでに竣工し、今後は名古屋の大型開発にも乗り出す。
不動産開発では百貨店、パルコの経験を強みとした大型複合施設の開発に取り組む。
百貨店とパルコの規模を適正化する一方、非商業用途を高めて不動産関連収益の割合を増やすことに注力を決めた。
終わりに
決算発表後の質疑応答資料で以下の部分が印象に残った。
「コロナ禍を通じて、はっきりと分かったことは、百貨店は営業しなくても日々の生活はできること。つまり、お客様から見れば使用価値以外の価値がどれだけあるのかが重要になる。商品の背景にある価値を生み出す文脈がある商品やブランドに関しては百貨店は十分に戦っていけるし、それが主戦場になると思う。」
この言葉に非常に商業施設としての百貨店の大事さがつまっていると思う。
百貨店はコロナ後もEC化と戦わなければならない。百貨店自体もEC化も勧めているが、百貨店の店舗自体の事業は引き続き主体となっていくだろう。
「実際に訪れて楽しいと思える百貨店作り」
それが今後の百貨店作りの課題である。
その点、Jフロントリテイリングの不動産事業へのシフトで不動産開発と一体の百貨店作りは評価できる。
今後コロナは収束に向かうと思うが、百貨店の復活にも期待していきたい。
※本記事は情報提供を主たる目的としたものであり、投資手法を紹介したり特定の銘柄を推奨するものではありません。個々人の投資に関しての責任は一切取りかねますのでご留意ください。